愛犬家の敵は愛犬家?

犬

意外に多い。愛犬家からのプレッシャー

犬を愛するからこそ、老犬介護の苦しみに寄り添ってくれ、こまった時には力をかしてくれる犬友達。 犬好き同士だからこそ、互いに理解し合えることはたくさんあります。
一方、犬を愛するからこそ、他の飼い主さんに対して批判的になる愛犬家の方も残念ながらいらっしゃいます。

「散歩には一日2回行かないとダメ」 
「要求吠えには一切答えちゃダメ」 
「食事が済んだら、すぐに食器を片付けなきゃダメ」 

こういったルールは基本的には正しいものですし、ルーズになりすぎるのも良くないでしょう。 
何よりも、そういう「他の人に批判がちな飼い主さん」も根っこにあるのは犬に対する深い愛情。 
だからこそ、一概に否定はできませんが、老犬介護生活においてはこういう方が天敵になることが少なくありません。 

老犬介護に悩まれる飼い主さまはもともと真面目で、人に言われるまでもなく出来ることはすでにやっています。 
そこにさらなるプレッシャーが加わると、本来ならありがたいアドバイスであっても、迷惑にしかなりません。

幸せのカタチはワンちゃんそれぞれ

人を批判しがちな飼い主さんは、こんな言葉を投げかけます。
「毎日少しでもいいから歩かせないとダメ」
「肥満防止のために、カロリーはしっかり制限しないとダメ」

そして真面目な飼い主さんは、こういう言葉を真摯に受け止めます。
「そうだな。やっぱりきちんと管理してあげないと無責任だよな」
嫌がるワンちゃんを無理やり歩かせ、あんまり好きでは無いフードを与え、、、。
それって、ワンちゃんの気持ちを無視しちゃってることにはなりませんか?

人間でも同じような話題がよく取り上げられますが、そもそも「長生きすることだけ」が幸せなのでしょうか。
もちろん飼い主の立場としては、一日でも長く生きていて欲しい、できれば一生いっしょにいたいと思うのは当然です。
でも、それを理由にしてワンちゃんにがまん「させすぎる」のは少し問題かもしれません。

持病などにより、好きなモノを我慢させないとその子が後から苦しい思いをするようなケースもありますので、そのバランスを取るのはなかなか大変かもしれません。
でも「完治する病気」と「進行する加齢変化」は別物です。
残された貴重な日々だからこそ、限度を決めた上で、少しくらい甘やかしてあげてもいいのではないでしょうか。

飼い主さん本人はどういう価値観をもっているのか?
かわいい愛犬は何を日々の喜びとして生きているのか?
現在、身体の状態はどうなのか?
それらを総合的に考えたら、結論はワンちゃんそれぞれで千差万別になるでしょう。
「こうすべき」という1つの結論に落ち着くはずがないのです。

こんなことを書くと、また真面目な飼い主さんは「この子のために真剣に考えなければ!」と思い悩んでしまいそうですが、ぜひ少し肩の力を抜いてください。
基本的な管理はしつつ、でもたまには多めに見てあげる。
そんなスタンスがいいのではないでしょうか。

ベテラン飼い主さんほど昔の経験にしばられることも

数十年に渡り、さまざまな愛犬とともに暮らしてきた方であっても、「まさかこんなに長生きするとは思わなかった」「こんなに手がかかる子ははじめてだ」とおっしゃることがよくあります。
この原因は言うまでもなく、「ここ最近の急激な犬の高齢化」です。
ワンちゃんがここまで長生きする時代は誰も経験したことがありません。
犬の高齢化はさまざまな媒体で取り上げられていますし、愛犬家であればそれを知らないはずがないのですが、やはり我が身に起こっていないことは実感として理解しにくいのかもしれません。
今いっしょに暮らしている子に問題が生じるまでは過去の理解にしばられやすく、問題が生じた時に心底驚愕されることはベテラン飼い主さまに特徴的です。

はじめて犬を飼った人は「経験豊かな人が言うのだから、きっと正しいのだろう」と思うかもしれませんが、こと「現在生じている犬の高齢問題」に関しては、誰もが同じスタートラインであることをどうぞ知っておいてください。

逃げることは悪いことじゃない

「こうすべき」という呪縛から解放されたら、次は現実的な対処法です。

一番のおすすめは「逃げること!!!」

そもそも口うるさい飼い主さんも悪気があるわけではちっともありません。
いきなり敵扱いしてしまいましたけど戦う必要は無いんですよね。
「アドバイスはありがたいけれど、自分はこう思うので、こうします。」ときちんと伝えることも非常に建設的で素晴らしいのですが、そこに労力を使うのってちょっともったいかもしれません。
この子と一緒に過ごせる大事な大事な時間。
不要なストレスに立ち向かうヒマなんてありません。
ちょっと散歩ルートをずらしてみたり、ばったり出会ってしまっても何かしら口実をつけてその場を立ち去ったり、「最近はどうなの?」と聞かれても「まぁまぁ落ち着いてます〜」と当たり障りの無い返事を返したり。

人の心の余裕には限度がありますので、それをしっかり確保すること、そして自分にとって本当に大切なことにその余裕を使うことを意識してみましょう。
ストレスフリーで楽しい老犬介護生活を目指しましょうね。