犬の認知症チェックは100点法で

計算

愛犬の状態を正確に把握しましょう

「最近ちょっとおかしいなぁ。もしかして認知症?」

そう思ったら一度、簡易的なチェックをしてみましょう。
 ここでは動物エムイーリサーチセンターの内野富弥先生によって作成された「犬痴呆の診断基準100点法」をご紹介します。

チェック項目と点数

 以下の10個の項目について、それぞれ(1)〜(5)のうちひとつを選択し、点数を合計してください。

1. 食欲・下痢

(1) 正常  → 1点
(2) 異常に食べるが下痢もする → 2点
(3) 異常に食べて、下痢をしたりしなかったり → 5点
(4) 異常に食べるがほとんど下痢をしない → 7点
(5) 異常に何をどれだけ食べても下痢をしない → 9点

2. 生活リズム

(1) 正常(昼は起きていて、夜は眠る) → 1点
(2) 昼の活動が少なくなり、夜も昼も眠る → 2点
(3) 夜も昼も眠っていることが多くなった → 3点
(4) 昼も夜も食事以外は死んだように眠り、夜中から明け方に突然動き回る。飼い主による制止がある程度は可能 → 4点
(5) 上記の状態を制止することが不可能な状態 → 5点

3. 後退行動(方向転換)

(1) 正常 → 1点
(2) 狭いところに入りたがり、進めなくなると後退する → 3点
(3) 狭いところに入るとまったく後退できない → 6点
(4) (3)の状態で、部屋の直角コーナーでの転換は可能 → 10点
(5) (4)の状態で、部屋の直角コーナーでも転換できない → 15点

4. 歩行状態

(1) 正常  → 1点
(2) 一定方向にフラフラ歩き、不正運動になる → 3点 
(3) 一定方向にのみフラフラ歩き、旋回運動(大円運動)歩きになる → 5点
(4) 旋回運動(小円運動)をする → 7点
(5) 自分中心の旋回運動になる → 9点

5. 排泄状態

(1) 正常 → 1点
(2) 排泄場所をときどき間違える → 2点
(3) 所かまわず排泄する  → 3点
(4) 失禁する → 4点
(5) 寝ていても排泄してしまう(垂れ流し状態) → 5点

6. 感覚器異常

(1) 正常  → 1点
(2) 視力が低下し、耳も遠くなっている → 2点
(3) 視力、聴力が明らかに低下し、何にでも鼻を近づける  → 3点
(4) 聴力がほとんど消失し、臭いを異常に、かつ頻繁に嗅ぐ → 4点
(5) 嗅覚のみが異常に過敏になっている → 6点

7. 姿勢

(1) 正常 → 1点
(2) 尾と頭部が下がっているが、ほぼ正常な起立姿勢をとれる  → 2点
(3) 尾と頭部が下り、起立姿勢をとれるが、アンバランスでフラフラする → 3点
(4) 持続的にボーッと起立していることがある → 5点
(5) 異常な姿勢で寝ていることがある → 7点

8. 鳴き声

(1) 正常 → 1点
(2) 鳴き声が単調になる → 3点
(3) 鳴き声が単調で、大きな声を出す → 7点
(4) 真夜中から明け方の決まった時間に突然鳴き出すが、ある程度制止は可能 → 8点
(5) (4)と同様であたかも何かがいるように鳴き出し、全く制止できない → 17点

9. 感情表出 

(1) 正常 → 1点
(2) 他人および動物に対して、何となく反応が鈍い → 3点
(3) 他人および動物に対して、反応しない  → 5点
(4) (3)の状態で飼い主にのみにかろうじて反応を示す → 10点
(5) (3)の状態で飼い主にも全く反応がない → 15点

10. 習得行動

(1) 正常 → 1点
(2) 学習した行動あるいは習慣的行動が一過性に消失する → 3点
(3) 学習した行動あるいは習慣的行動が部分的に持続消失している → 6点
(4) 学習した行動あるいは習慣的行動がほとんど消失している → 10点
(5) 学習した行動あるいは習慣的行動がすべて消失している → 12点

判定基準

上記の合計が三段階のどこにあたるのかで判定します。

判定基準

合計が 30点以下 → 老犬
合計が 31~49点 → 認知障害(痴呆)予備犬
合計が 50点以上 → 認知障害(痴呆)犬

現在、犬の認知障害には根本的な治療法はありませんが、サプリメントやさまざまな介護グッズを使って介護負担を軽くすることが可能です。
また上記の判定基準をみると、認知障害がどのように進行していくかおおよその流れを理解することができます。将来的な不安がもっとも大きくなるのは「この先どうなってしまうかわからないとき」ですので、今後起こり得ることをあらかじめ知っておき、万が一の時にあわてず対応できるようにしておきましょう。

認知機能不全症候群の表記について
「犬の認知症」は正しくは「認知機能不全症候群」ですが、この呼び方は一般的にまだ広く浸透していないため、このサイトでは「認知症」という呼び方を使用します。