認知機能の低下とは
犬の認知機能不全症候群とは
犬の高齢化に伴い、人間の認知症(昔は痴呆やボケといわれていました)に似た犬の認知機能不全症候群が近年増加しています。14歳以上の有病率は41%と言われ、症状の重篤度は異なるものの、高齢犬ではかなりの頻度で生じ得ます。老犬介護において何か問題が生じたら、一度は疑ってみるべきでしょう。
・歩き方がおかしい
・部屋の角にはまって方向転換できない
・排泄の失敗が増えた
・しつけたことができなくなった
・名前を呼んでも反応しない
・理由もなく夜鳴きするようになった
こんな症状がみられたら、認知機能の低下が生じているのかもしれません。
「何だか、最近ぜんぜん言うことをきかなくなった」
「歳をとってワガママが増えた」
そんなふうに考えてイライラしてしまったり、愛犬を叱ったりしてはいけません。
しつけの問題ではありませんし、きっとワンちゃんが一番戸惑っているでしょうから。
完全な治癒は難しいけれど
人の認知症と同じで、完全に治癒することは現段階では困難です。
ただし、進行予防は可能ですので、何しろ早めに気づいて、早めに対応することがとても大切です。
また認知機能不全症候群はありつつ、問題の一つひとつに対症療法的に対応することも十分可能です。個体差はあるものの、動物病院で処方していただくサプリメントが著効するケースもあります。
元気いっぱいだった頃の姿を知っているだけに、悲しくなってしまうこともあるかもしれませんが、年齢が進んだからこその楽しみや穏やかな可愛らしさもたくさんありますので、前向きに取り組んでいきましょう。
認知機能不全症候群のチェックツール
認知機能不全症候群なのか?もしそうなら、どの程度の重篤度なのか?
ご家庭で簡単にチェックできるツールとしては、100点法やDISHHAがあります。
これらのツールは愛犬に変化が生じてから使用しても、より正確に問題を認識できるのでおすすめですが、早めに異常に気づけば進行予防につながりますので、愛犬が8歳以上になったら定期的にチェックしてあげてくださいね。
また自己診断は禁物ですので、チェックツールで異常が疑われたら、かかりつけの獣医師の先生にご相談ください。これらのチェック結果があると、正確に状態をお伝えしやすいので、受診の際に参考資料として病院に持参しましょう。
高齢だから認知症?
さて、老犬だからといって、「問題行動=認知機能の低下」と決めつけてしまうのも危険です。
名前を呼んでも反応しないのは耳が悪くなったからかもしれませんし、排泄の失敗が増えたのは腎臓に何か病気があるかもしれません。
場合によっては、症状それぞれの原因がバラバラということもあるでしょう。
何かしらの問題行動が生じたら、まずは動物病院を受診し、新たな疾患が無いか診断していただきましょう。しっかりと原因が切り分けられることが、問題解決の一番の近道です。
認知機能不全症候群の表記について
「犬の認知症」は正しくは「認知機能不全症候群」ですが、この呼び方は一般的にまだ広く浸透していないため、このサイトでは「認知症」という呼び方を使用します。